30歳を目前に海外へ旅立つ話

〜昨日を今日の踏み台に〜

30歳を目前に海外へ旅立つ話

〜昨日を今日の踏台に〜

リョーさんのディアー(鹿)ハント〜その②

 この・・・・どっかで見たことあるぜ・・・

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そう・・・・それは俺が国防のために働いてた時に使ってたやつ!!!

と、懐かしさを覚えると共に、いよいよ始まるのかと言う緊張感とワクワク感。

 

朝6時、起床のアラームが鳴る。

ウォーミングアップと言わんばかりの朝練の開始だ!!

昨日の夕食からSay Helloして合流したDanの友達、Aaronも起きてきて一緒に朝練開始。

 

一応聞く・・・・

竜:『ペース早くないよね?』

Dan『イェース メェン ゆっくり行こうぜ朝だし!』

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現役ランナーだったね君たち

ここで俺は忘れていた事があるんだ。

この人たちまだバリバリ練習してる現役ランナーって事をな・・・・

 

朝練開始して約2秒で気付く。『あっ速ぇっ・・・・』

自分も元ランナーとは言えまともに走らず約もう1年以上・・・・

舐めてました。笑

 

走ってる人ならわかると思いますが4’30”/kmくらいでのスタート。

最近の自分のジョギングスピードが5'/kmくらいで、調子よくなってきて4'30"くらい。

開始3kmくらいでもう帰りたいのに、あと9kmも走んのかと思いながら付いていく。

 

前を走る二人は自分たちでケニアにトレーニング行くほど陸上に対して熱い思いがあるアスリートで、Danはマラソン、Aaronはハーフマラソンを中心にやっているような選手たち・・・

 

中距離を得意とし・・まともに練習してない自分は結構ギリギリ付いてく感じで、

何食わぬ顔して『No Probrem』感出してたけど、終わった頃には、ふくらはぎガッチガチのケツ筋張りまくり、体だるいって感じの状態でした。笑

 

そして前日は夜遅くて分からなかったのですが・・・朝練の行き帰りで分かった事。

Danの家でけぇ!しかも小高い丘の上にあるから目の前の牧場が綺麗に開けて見える。

すげぇ立地の場所だ。家もリッチだし。

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Danの家でけぇ!!

 

 

ホット一息ついてシャワーを浴び、朝食。

 

ポリッジ(おかゆ)かブレッド(パン)どちらが良いか聞かれて、

『え!?おかゆがあんの!?』と驚きつつ、日本人らしく、もちろんポリッジをお願いし待つ事数分。

そうここはニュージーランドおかゆって日本人が想像するやつと違うんですよね。

 

オーツというフルーツグラノーラのフルーツ全部抜いたドライの麦?みたいなのにお湯が注がれたやつがポリッジで、米からできてる訳ではないんです。

 

Dan:『シロップと、砂糖がキッチンあるから好きな方かけて良いよ!』

 

な・・・なに!?

おかゆに砂糖!?だっ・・だと!?

 

5秒間考えるもここはニュージーおかゆには砂糖!★気持ち入れ替えて食べました!

 

食べてる最中に、今日何時に出発するの?と聞いたら、あと『30分後くらいかな〜』と。

 

『早くね★まだ朝練のダメージヤバイ★』

という気持ちは忘れて、いざ出陣。

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立派なガレージ

これからハンティングが始まるという気持ちを昂らせるかのようなガレージを後にし・・・

家を離れる。(オラ椰子の木あるお家初めて見たぞ!)

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出陣!

後部座席に乗ってて思ったことは・・・・
もうこの車がワイルド。Danの帽子が可愛い。

 

この数分後に

Dan:『このへんで携帯電波サービス終わるからね!準備OK???』

と知らされ自分はただ頷き・・・

携帯の電源を切り・・・・

カメラの充電だけをチェックするのでした・・・

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ワイルドカーに乗車し森へ

車は後ろが軽トラみたいに荷物が載せられるようになっていて、

『ふーん鹿を捕まえたらここに載せんのか。そりゃワイルドだわ。』と納得。

だが・・その予想は大きく外れることを俺はまだ知らない・・・・

 

車を森の脇道に止めていざ出陣!!『え?森に行くのに半袖半ズボンなの?そんな余裕な森なんだ♪』という気持ちを自分は抱えて少しホッとする。

これから始まる狩りにSmileの御一行。

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車を降りて森へ向かう

森に向けて砂利道を歩くこと約10分。

 

少し嫌な予感はしてたんだけどそれが的中。

 

Dan:『テイク オフ ユア シューズ。靴脱いで〜〜〜』 

竜:『OMG。オーマイゴッシュッ。まじで言ってんの?

 

そう、歩きながら川のせせらぎが聞こえてたのですが、

何を隠そうその川は我々が最初に渡らなければならない川でした。

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マジかよって顔

でも川はそれほど深くなく、渡ること自体はそんなに苦じゃない。

少し滑りやすいくらいで楽勝!

 

Dan:『朝練後の筋肉アイシングだ〜〜〜』

 

って感じで楽しそう。

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足首上くらいの深さの川

そこそこ距離のある川を渡って、いよいよここから森へ!!!

もう結構この時点で『もう良いかな』って感じの満足度を経た自分でしたが。

そんな弱気な気持ちは捨てて、ただただ付いていく。

 

進んでいく森も結構尋常じゃなく茂った森で。もちろん綺麗に整備なんかされてない。

あるのは数メートル間隔に貼り付けてるルートを示すマーカーのみ。

この人たち半袖半ズボンだから楽勝かと思って完全に油断してたぜ!!!

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ルートを示すマーカーとほぼ整備なしの森

ここでDanが

 

Dan:『そろそろ1回やっとくか』

Aaron:『そーだな!チェックしよ』

と。

 

ダンはすかさずリュックの脇から20cmくらいのプラスティック製パイプを取り出し、

イメージで言う、戦国時代闘う前に吹くホラガイみたいな声を出します。

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パイプを取り出すダン

それは鹿の鳴き声の真似らしいのですが、鹿の鳴き声なんか聞いたことない自分は、

これ似てんのかな?と疑問に思いつつ・・・質問する。

 

竜:『これ声出して呼んで、なんの意味があるの?』

Aaron:『この時期は交尾のシーズンだから声出して呼ぶと返答が来るんだ。』

『もし近くに鹿がいればすぐに返答が来るはず』

 

と聞いて納得!ですがこの時は返答はなく、そのまま歩を進める。

狩りの最中に鹿が居たらしい形跡も見つけました!!

ハンターたちはこういうのを逃しません。木の削れた部分を発見し、ヤツらがここでツノを擦った痕という事を教えてくれました。

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雄鹿がツノを擦ったあと

この後にはまだ柔らかい鹿の糞も見つけました!!!こうやって少しずつ鹿の痕跡を探していきます。

彼らはこれを『スライミー ディアー シット』って呼んでました。笑

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柔らかい鹿の糞


もう何時間歩いたか分からなくなった頃・・・・

 

事態は動きます!!!

 

これまでの様に何度か鹿の声を真似していたDanですが、

 

ついに・・・

ついに返答が!!!!!!!!!

Dan:『ヴぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉオン』

鹿:『ヴぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉオン』

 

 

すっげぇぇぇえぇぇ!!!!!!!!

声おんなじじゃん!!!!

と大興奮の俺。

 

銃を持つAaronはゆっくりと声の聞こえる方へと近づきます。

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鹿の声から場所を探るAaron

ただ・・・・

この時はかなり近くに鹿がいて距離も近かったのですが、地形の条件が悪く正確な位置が掴めない事も重なり、諦めて次の鹿探しへと。

 

この時に、『無理せず次に切り替えるのも大事』という事を学びました。

 

この後も別の場所で鹿の返答は2回くらいあったのですが地形の状況が悪く近づけず、なかなか狙撃体勢まで入る事ができませんでした。

 

日も暮れるし泊まるハットに向けて歩を進め急ぐこととなり、この日の狩は終わり。

本当に暗くなってきて無事に着くんかこれ??と不安になるもついていくしかない自分・・・

前もほとんど見ない中、もう着くよ!!!

という言葉だけを信じて歩くこと15分くらい。

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ほぼ見えんっちゅんだよな

 

無事にハットに到着〜〜〜〜〜〜!!!!!

良かった〜〜〜!!!!

が、ここからがまたワイルド★

 

ハットの現状

★トイレなし(川か森で)

★電気なし(もちろん)

★暖炉あるけど着火剤なし

★ベッドは2段ベッドが三つの6人小屋

って感じでした。

 

前日が雨という事もあり、外には乾いた木も少なく火をつけるのも一苦労・・・・

Aaronと自分は木探し。Danは火を付ける係。

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点火を試みるDan

 

何十分か火がつく、つかないの格闘を繰り返した末、最終的にBIG FIRE!!

 

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温まる小屋。

夕食を作る。

 

夕食は缶詰された豆を火で温めて食べる感じだったと思う。

本当になにをこの日食べたのか覚えてなくて。

朝9時から夕方7時まで同じ様な景色の森を見て歩き続けやっと辿り着いた古屋で火起こし・・・

とにかく疲れました・・・・

 

二泊三日・・・その言葉が頭をよぎる。笑

余計なことは考えるのは止めて

 

汚れたマットレスをベッドに敷いてその上に寝袋敷いて寝る。

あれ?なんかこの光景見たことあんな。

 

あ、国防で訓練してた時の野営か。と独り苦笑いしその日は眠りに着くのでありました。

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初日の寝床

この日は鹿に会うことはできなかったけど、

初めて鹿の声も聞き、

自分たちで食糧調達や準備する大変さ・・・

電気がないという不便さからわかる日常のありがたみ。

 

多くのことに感謝し眠りにつきました。

翌日もう二度とやりたくねぇ

と思う経験が訪れる事も知らず・・・

ぐっすりと・・・・

 

 

ただこの夜の星は綺麗だった。

 

竜:『Dan 明日何時に起きる?』

Dan:『6時に起きてご飯食べたら出発!』

竜:『ガーチャー(了解)! 苦笑』

 

パート③最終章へと続く〜〜〜

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ハットと億千万の星