リョーさんのディアー(鹿)ハント〜その③
朝6時。起床のアラームがヴァイブレーションのみで鈍く枕の下でうごめく。
朝だ。2日目が始まる。
Dan:『グッモーニン、ブロ(ブラザーの略)、ハウ アー ユー リョウ。』
竜:『グッモーニン。アイム グーーーッ・・・・・』
いやホントはGoodじゃないんだ。あと2日もこの生活なのかって思ってるんだよ僕は★
という邪悪なマイナス思考は捨ててAaronとも同じ会話を繰り返し、朝食準備へ。
朝食はお湯を沸かして昨日の朝食べたポリッジと同じ方法で完成。
しかし今回違うのは味付け。豆の缶詰をまた開けてポリッジへと投入。
うん。まだ塩っ気テイストだから大丈夫。助かった。ここでまた甘いの来たらマジで喉通らんと思いつつも、
Dan:『甘いほうがいいよね?このカフェオレパウダーかけてお湯足したら最高だぜ ブロ』
ここはニュージー★ポリッジは甘いんだよ!!って事を再確認して食べる。栄養補給は大事や。
洗剤は使わず小屋の横にある貯水タンク(飲めません)で皿を流してビニール袋にしまう。
もちろん皿は綺麗じゃなくて若干のオイリー。ナイフ・フォークも同じ。
自分は川でトイレをすませ。使った紙は暖炉でFIRE。臭くありません。笑
荷物を全部詰め直して、出発準備をしていると、
Dan:『今日は荷物置いて、必要なものだけ持っていくから』
との事。
カメラと給水ボトルだけ出す。その他の荷物は目の前の森の中へと隠しに行く。
本日、自分とAaronの荷物は小屋前の森の中でおやすみ!!!
今日自分が持つものはこの総額40万のカメラだけ。
心の中でガッツポーズをして、Danのリュックにボトルもさす。
Danのリュックは寝袋とかは全部抜いて食料と火起こし道具が入っている様だった。
でも重そうだったけど!(*↑の写真参照)
Aaronは狙撃手として銃を手に、俺はカメラマンとしてカメラを手に、Danは鹿を呼び寄せる係としてパイプを手に(荷物も背負って)、
2日目の狩りが朝7時からスタートした。
朝寒かったのでDanが予備のニット帽を貸してくれた。
寒いのは分かってたけど・・・何でそんなに寒いかって??
今日は川にそのまま入るからです。この時ニュージーは夏が終わりかけの秋。朝はひんやりで新鮮な水が流れるこの山水はかなり冷たい・・・・
結局山用ブーツのない自分はトレイルランニング用のシューズを使用してこの狩に来ました。
(DanはそれならOKって言ってた)
また川かよ!!!って何回も思うほど川の中をザブザブ進んでいき上流に向け歩く。
と、ここで新たなインフォメーション。
Dan:『朝は動物も喉が渇くから川に来るんだ、ほら見て。』
指の刺す先に、まだ新しい鹿の足跡が。
分かりにくいですが、近くで見ると堀面がくっきりと残る。
さっきまで動物がいたかのような跡。
この足跡発見後、昨日Danがやっていた鹿の鳴き声を試すが無反応。
二人は作戦を話しています。
この後もう少し上流に歩いたのち山にへ入って行くという作戦になりました。
この時点で多分1時間か1時間30分・・・2時間は歩いた。とりあえず時間を確認する事をほとんどしなかったので自分がどのくらい歩いたのかも分からない。笑
時々水分補給をとるのですが・・・・・
Aaronは直に川の水を飲むスタイル。
(いや・・この方法で飲むのはこの1回だけでした。冗談です。)
でも基本的に水は川から汲むスタイル。
煮沸はしません。完全に直飲み。
途中の山中で水がなくなると困るので川があるうちにボトルに補給!
この後から山に入り、Danが持つGPSマシンを頼りにトレイルのマーカーをみんなで探しながら今日歩くコースに沿って道を進めていきます。
昼前になって日も上がり暑くなってきてニット帽は速攻脱帽。
寒かった体もようやく温まって長袖一枚に!
何度か試したDanの鳴き声に反応が時々あるも遠すぎたり、ルートから離れすぎてる時は危険なので見送ります。
と、その時!!!!!!クッソ近い場所で返答返ってきます!!
鹿:『ヴぉおおおおおおおおおおおおんん!!!!!』
Dan:『ドン ムーヴ!!!!!』(小声で指示が出ます)
鹿の姿は見えませんがとにかく近い。明らかに声の近さが尋常じゃなかった。
けどこの時の地形もあまり良くなくて谷になってる下に鹿がいる感じでした。
(赤矢印下が谷でそこに多分いた)
この時、自分とDanは動かず待機で、Aaronだけが鳴き声へとゆっくり近づく。
Danは鹿とは背中合わせの方に体をむけ、間隔を開けて鳴き真似をする。
(この時思ったのは鹿とは逆向きに声を出す事で、標的の鹿が追いかけてこようとして近づいてくるのかな?と思いました。*真相は知らん)
自分のバズーカカメラでAaronの背中を追うも・・・・
鹿の反応は薄くなり・・・どうやら離れて行ったよう・・・・
こんな感じで何度か近接状況を経るもBestが来ない。
だんだんこの状況にも慣れてくる自分。笑
昼過ぎに昼食を食べて、(疲れて何食べたか覚えてないけど多分パンとスナック)
午後の部開始。
歩く。鳴く。構える。離れる。歩く・・・・・・
その繰り返しが過ぎ3時間が経とうとする中。
あるポイントでものすごい状況が発生。
Danの一回の鳴き声に対して3匹の反応!!!!!!!!
そして一匹めちゃくちゃ近い。
この状況に3人はここで一匹いける!!と希望を持つ。
先ほどと同じフォーメーションを二人が取り始める。
Aaronが声の方に近づいて、Danはそれと逆向きに声を出す。
この時はもうかなり近かったんで鹿に向けても声を出していました。
しかし未だに自分らの位置から鹿は見えず・・・
緊張状態が5〜10分ほど続いただろうか?
Aaronがだいぶ動いて姿が見えなくなる。
だが鹿の反応は以前として近い。
とその時!!!!!!!!
Aaronの銃声:『ズッダァッーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!』
俺:『撃ったッツ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』
乾いた銃声が山に響きました!!!
下り坂をダッシュで降りるDan!!!
駆け下りている途中にもう一発!!!!!!!!
『ズッダァッーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!』
え!?二発目!?てことは一発目外した!?
(頼むから当たってて。)
と疑心暗鬼になりつつも・・・・DanとAaronが合流して
『YEEEEEEEEES!!!!』の声が!
自分もダッシュで坂を降りて追いつくとそこには倒れた鹿とDanとAaron。
もう鹿の首にはナイフで切り込みが入り完全に絶命し動けない状態となっていました。
(多分ものすごい手際だったんだと思う)
ちなみに二発とも命中してました。
分かってたけどデカい。
そして、ここからがものすごく大変。
Dan:『よし持って帰るからカッティングして行くぞ!』
Aaron:『OK!俺は頭の方行くわ。』
と仕事分担され、二人は手際良くカットしていきます。
★Aaron 頭担当+時々Danの手伝い
★Dan 鹿の4肢+背骨両サイドの背筋
★カメラ+二人の手伝い
の流れで解体が進められました・・・・
二人とも手際よく解体を進め、自分も手伝わせてもらった。
背筋部分の切除と脚部分の補助。
綺麗に肉と皮を分けてとっていく。
そして一番やばかったのが内臓の切除と取り出し。
焼き鳥屋さんや焼肉へ行くと当然のように部位として出される心臓と、肝臓(レバー)だ。
持ち帰る部分以外の臓器を腹から出す(腸や胃袋など)。この作業を手伝ったがもちろんかなりのレベルでやばい。(いろいろ説明すると本当にグロテスクなのでここではヤバいという言葉だけで表現します。)
まず匂いがヤバい。あと、捕まえた直後なので温度もヤバい。
手を突っ込んで全部引きずり出し、必要な部分だけカットする。
躊躇してる暇はない。とにかくやるしかないんだ。
自分がヤバい部分を持って、もう一人(AaronかDanか忘れたけど)がザクザクとヤバい勢いでカットして取り除く。
心臓は人間の拳二つくらいだろうか?結構デカい・・・肝臓も大きい。
だんだん慣れてくる自分にもヤバいと思ったけど、こういうプロセスで食肉は作られて行くんだなと学ぶ。機械にせよ、人がやるにせよ、普段口にしている肉は元々は動物で、誰かがこれをやっているんだと思い知る。
毛皮や内臓など残ったものはその場に残し、
全ての処理が終わり一息。
Aaron:『やっと終わったな!ちょっとクッキー食べていい?』
内臓処理をした血塗れの手でクッキーを食べ始める。笑
竜:『うん。君が一番ヤバいよ』
と心の中で思いつつ。
Aaron:『リョウもクッキーいる?』
と差し出す。
竜:『ワイ ノット? サンクス メイト!(断るやついる?ありがと!)』
自分の手も血塗れだったけど、そのグロさとは全く逆のピンクのチョコレートでコーティングされ、カラフルなシュガーがまぶしてある可愛いクッキーを食べる。
なんやこれ?笑 と心の中で苦笑い。
そしてデカい黒のポリ袋(2つ前の画像参照)三つに肉が入れられ全てDanのリュックへとぶち込まれる。 多分1袋20kgはあるので3つで60kg(多分それ以上)。元々のリュックの重さが20kg以上あると推測される。
そのリュックを持ち上げようとしたDanがよろめく・・・・あのDanがだ・・・・
竜:『Dan!どんくらいの重さある?推測で?』
Dan:『メイビー ア ハンドレット(多分100kg) 苦笑』
鹿の頭の部分はカバンに入らないので銃を持つAaronが手持ちで運ぶ。
出発してまもなく・・・・
体力に自信がありあの最強タフなDanがまじでキツそう。ちょっとした段差でふらつくのだ。
元々の帰り道のコースを変え、そのまま川へ向けて山を下り、その川に沿って歩いて帰れば昨日泊まったハットに着くという流れだ。
だが川の方まで降りるトレイルのコースがえげつない下り坂で、
いやもうあれは下りではない。崖だ。
Aaronと自分が歩きやすい道を探してDanを誘導する。
Danは危な過ぎて歩いて下れないからお尻をついてずるずる降りる。
あのDanがキツそうで汗だくだ。
このコースは多分普通じゃないんだろうなと察する自分。
なんとか崖を降り、川についてAaronとDanが荷物交代。
Aaron:『やっベェ。重いなこれ。』
Dan:『最強のトレーニングだろ ブロ?走るトレーニングよりいいぜ。』
自分は『この人たちは何を言ってるんだろう?ヤバい人たちなのかな?』と笑いながらも。
きつくてもポジティブって大事だなぁと、国防職をしていた頃を思い出す。
みんな荷物運んでくれてありがとう。俺はこんな2kgのカメラなのに・・・・
と、ただただ感謝。
川まで降りて少し歩くのが楽になった頃、
Dan:『ここにヤバい草があるから絶対触るなよ〜』
と教えられ形をチェックする。 明らかに危なそう。
来るときには全然見なかったこの草が、帰り道の小川の周りにはこいつが結構いた。
注意しなければ。
重い荷物から解放されたDanはワイルドなスタイルで頭部を運ぶ。
服が汚れるなど気にしないのだ。
とその時
竜:『痛ッっっっっっっっってぇ!!!!!!!!!』
Danのこの写真を撮ってたら、さっき言われた草に突っ込んでました。笑
タイツの上からにもかかわらず突っ込んだので貫通!!
激痛!!!刺さった場所にずっと電流が流れてるような痺れるような痛み。
まじかよ・・・・と思いつつも帰るしかないので我慢して帰る。
途中帰り道も小川の横をランラン♪
なんてことはなく、、、、これもう進めないでしょ!!って地形を進む。
川にもザブザブ膝まで入る。
鹿の頭が邪魔なときは川に投げ込んで、両手を使えるようにしてから進む。
自分は高級カメラを落とさないように守りながら歩く。
道のりは長いためDanとAaronは交代で荷物を持ち運ぶ。
途中土砂崩れで崖が崩れている場所があったがそこも進む。
そこを歩くと岩がサーーーーーっと崩れ始めるのだ。クソほど危ない。
この写真の左側は全部土砂崩れの崖でした・・・・
崖もやっとの思いでなんとか交わし、まだまだ進む・・・・・・
陽が落ちてまた視界不良になってくる頃、吉報が。
GPSを見たDanが、
Dan『そこに見えてる川の合流点が朝歩いた川だ!』
心の中でガッツポーズを10回はした。それくらいヤバい道を降りてきたのだ。
夕焼けが終わる数分とても綺麗な景色が見れた・・・・
なんて綺麗な夕日なんだろう。
この景色が終わるとともに・・・・・・
そうまた夜間歩行の始まりを告げられる・・・
各々ヘッドライトをつけて歩く。
もうヘッドライトなしでは前は見えないのだ。
朝歩いた川は余裕ということは分かっていたので、気持ち的には凄く楽だったのだが、
とにかく朝7時に出発して、この時の時間が夜7時。12時間活動し続けた疲労がのしかかる。
その上この二人はこの荷物を持って・・・・どんな化け物体力だよ!!!と思いつつも
Dan:『あと少しで着くぜ!!!チアーズ メン(やったな俺ら!!)』
Aaron:『鹿も取れたから上出来だな!無事に帰ってこれたし!』
と笑顔が戻り始める。
途中、小川の浅瀬でうなぎが泳いでるのを見つけ、
Dan:『リョウ掴み取りして!!!』
とジョークをかます余裕も出てきたくらいだ。
自分もやっと今日が終わるという事に安堵し緊張感も解ける。
さて!ハットまであと少しだ頑張ろう!と3人で足を運ぶ。
が、、、その時、、、まさかの自体が発生する。
いるはずのない生き物の鳴き声がする・・・・・
Dan:Aaron:『まじかよ、おい。』
二人の反応に っあこれはヤバいやつやと察する自分。
続く〜〜〜〜〜
*すいません!情報量多過ぎて3部で終わりませんでした!!!!
ここからまだまだヤバい状況が続きますのでパート④もよろしくお願いいたします。